たとえばあなたが
「小山さん!」
コンビニの入口で、千晶が小さく手を振っている。
「中で待ってればよかったのに、寒いだろう」
「大丈夫、完全防備だから」
ロングのダウンコートにマフラーと手袋。
たしかに完全防備といっても大げさではない。
それでも千晶が吐く息は白かった。
「少し遅れたね、ごめん」
腕時計を見ながら謝る小山に、千晶は笑顔で首を横に振った。
「いいの。お疲れさま」
その仕種が愛おしくて、小山は思わず千晶を抱きしめた。
「わっ!」
あまりに突然で、千晶が驚いた。
「ちょっ、小山さん、誰かに見られたら…」
「社内恋愛は禁止じゃないなら、いいだろ」
「う~…ていうか恥ずかしいんですけど…」
コンビニから出て来た人が、好奇の目でふたりを見ながら通り過ぎて行った。