たとえばあなたが
「こんばんはー」
『秋桜』に、千晶が慣れた様子で入って行った。
「いらっしゃい!」
店の奥からいつものように元気な和子の声が聞こえてくる。
小山もすぐに、
「どうも、ご無沙汰してます」
と足を踏み入れた。
「あ、あら、お久しぶり。どうぞ」
和子がふたりを促したのは、カウンター席だった。
店内は、忘年会シーズン真っ只中ということもあり、テーブル席が満席となるほどの盛況ぶりを見せている。
奥の座敷からも、賑やかな声が聞こえていた。
「ごめんねぇ、いつもはもっと静かなんだけど」
「大丈夫よ。それよりおばさん、手伝おうか?」
忙しそうな和子を心配して千晶が気遣うと、和子は大げさに手を振って、
「いいのいいの。ほら、これ食べて」
と、手際よく料理を出した。