たとえばあなたが



「仲人の件、ですよね」

それ以外に何も思い浮かばない松田に、木村は首を横に振った。

「それもある。でもそうじゃなくて、実はお前に助けて欲しいことがあるんだ」

「助けて欲しいこと…?」

さっきまでのにこやかな父の顔とは打って変わって、木村は上司の顔になっていた。

テーブルをじっと見つめる木村の目つきは鋭く、思いつめた雰囲気さえ漂わせていた。



「どうかされたんですか、部長…?」

部下である自分に助けて欲しいだなんて、よほどのことに違いない。

「あの…自分にできることなら、何でもおっしゃってください」

松田は両膝に手をつき前のめりになって、木村に言った。

木村は、ゆっくりタバコを吸い込んで、伏し目がちに長い息を吐いた。



「…困ったことに、なってなぁ…」



そう呟いた木村の表情は、今までに見たことがない類のもので、松田は背筋がソクリとするのを感じた。




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