たとえばあなたが



(刑事処罰なんて…?)

それは、松田の立場からすれば当たり前のことだ。

濡れ衣で退職に追い込まれたうえに刑事処罰まで受けるなんて、そんなバカな話があるものか。



「警察も会社の意向を汲んでくれているという話だから、そんなに大きなニュースにはならないはずだ。だから…―」

だから、何だと言うのだろう。

大きなニュースにならないというのは、この小さな『明日の新聞記事』からもわかる。

さっき見た横浜博覧会の入場券よりも小さな紙切れ。

こんな小さなスペースに、自分の未来がかかっているなんて信じられなかった。

会社と警察の間に、裏でどんなやり取りがあったのか考えるだけでゾッとした。

若干21歳にして、汚い大人社会の裏側を見てしまった。



「俺、辞めませんから」

自然に口から出た強気な言葉に、自分でも驚いた。

でもそれが、嘘偽りない本心だ。




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