この出会いが奇跡なら-上-
「お前の言う通り、重い」
「うるさい」
ドクンドクンドクンと、高鳴る心臓。
聞こえてないかな。なんて気にして上手く話せない。
でも、成斗の背中は安心出来るくらい、とても暖かかった。
首に回してる手をもう少しギュッとときつく回し、成斗に「ねぇ、」と声を掛ける。
「ん、何?」
「……ありがとう」
成斗は黙ったままで何も返事は返して来なかったけど、それでもあたしは続けて「これで助けてもらったの3回目だね」って成斗に小さくそう言った。
「放っとけなかっただけだ」
すると、不意に聞こえてきたそんあ小さな言葉が、あたしの心臓にドクンと響いた。
「…………」
やっぱり、成斗は優しい。
あたし、この優しさを独り占めしたい。
成斗の背中で、つい欲望に満ち溢れたような事を単純にそう思ってしまった。