この出会いが奇跡なら-上-
「へえ、ここがキスすると、ずっと一緒にいられるっていう石の前かー」
愛子はそう言うと、皐月の事を思い出したのか、不意にニヤリと笑った。
「はあ、ここで皐月とさー」なんてそう言う愛子が、少し羨ましく思えた。
「愛子って、波矢と付き合ってるんだ」
自由行動してから黙っていた真衣が愛子にそう聞いた。
「うん、もうラブラブだよー」とそうゆう愛子に、真衣はいいなあとだけ返して、あたしはちょっとムカつくな。って、そっと心の中で呟いた。
「…………」
そりゃあたしも、もし成斗と恋人同士なら、ここでキスしたいとか思うけど。
でも、恋人同士なんて、絶対あり得ないし。
現に告っても遊びで付き合われそうだし。
絶対ない。有り得ない。
眉間にギュッと皺を寄せてそう思っていると、突然後ろから「成宮」と、誰かに呼び掛けられた。
「あのさ。ちょっとこっち来てくんね」
「え?うん。別にいいけど」
あたしを呼んだのは、何故かモテると評判の良い、あの同じ班の森君だった。