この出会いが奇跡なら-上-
「ねえ桜、なんで二人きりにすんの」
結構離れた場所へ来て足を止めると、こっそりと愛子があたしにそう聞いた。
「だって協力するってあたしが言ったから」
「あんたはね、いつも他人の事優先しすぎ。もっと自分の事考えな。つらいんでしょ」
「………え、うん」
辛いよ。――――でも、
「やっと友達になれたから」
「馬鹿ね、桜って本当」
「はは、そうかもね」なんて笑いながら愛子にそう返すと、愛子はじっとりとした目であたしを見て来た。
愛子が言いたいことは充分分かってる。
でも、友情に似た真衣との関係とあたしの恋愛を天秤にかけるなんて、今のあたしにはそんな事出来ないから。
「一番いいのは真衣に私も好きって伝えることだよ」
愛子はそれだけ言うと、次どこ行く?と瞬時に話題を変えた。
「………」
そうだよね。それが言えたらこんなに辛い想い、しなくてすむよね。
だけど。それが言えないあたしはどうしたらいい?
真衣が成斗と付き合うまで協力を続ける?
真衣が成斗を諦めることを願う?
どれも駄目だ。二つ共違う意味で辛い。