この出会いが奇跡なら-上-
「ねえ、もう先行っとこう?」
あたしは十分辛かったけど、目の前の愛子にそう言った。
「良いの?」
「うん」
愛子だってまだ行きたいとこあるだろうし、真衣も今は成斗と二人きりで幸せなわけだし、松田君にも迷惑だろうし。
そんなあたしを見た愛子が、「桜がいいならいいよ」って気遣いながらそう言ってくれた。
あたしはそんな愛子に「ありがとう」とだけ伝え、真衣に「先行っとくね」とそれだけ短いメールを送った。
「さ、行こ行こ!」
無理にテンションを上げるあたし。
ああ、どうかお願いだから、何もありませんように。
「山川さん、次どこ行くの?」
不意に委員長の松田君が、笑顔で愛子にそう聞いた。
「んー、次お土産でも買いに行く?」
「うん、そうだね。俺、良い土産屋さん知ってるよ」
「本当!?案内してくれる?」
「うん、いいよ。みんな俺について来て」
そんな松田君に愛子はガッツポーズをして、あたし達は松田君が案内してくれるという、お土産屋さんに向かった。
皐月に何か買うんだろうなとか思いつつ、
別に同じとこ来てるんだから買う必要なくない?と、夢がないような事を心の中で呟くあたし。
「………」
あたしも成斗に買って行った方が良いのかな。
いや、やっぱり絶対変だ。
それに、すんなりと受け取ってくれる自信がない。