この出会いが奇跡なら-上-
それから数十分歩いたところに、大きくてご当地限定のお洒落な店が一つ見えてきた。
「うわー、さっそく入ろう!」
「うん!」
そう言えばあたし、今所持金何円だっけ。
お土産あげる人なんていないから、別にそこまでお金必持って来ていない。
そんな事を考えていると、もう既に目の前に愛子の姿はなかった。
相変わらず素早いな。仕方がない。一人で回ろう。
虚しくそう思ってたその時、少し離れた先で、「あー!」と大きな声が聞こえた。
「………」
この声、絶対に愛子だ。
何があったんだろうなんて想いながら、あたしは声がしたところへと足を運んだ。
「皐月ー!」
「愛子」
「皐月もここ来てたんだね?」
「ああ、班員がここ来たいとか言いだして」
――ああ、皐月だ。だからか。
納得したように、ピンクのオーラが出てる二人を見つめていると、不意にあたしに気付いた皐月が、珍しくあたしに声を掛けて来てくれた。
「よう、桜」
「皐月ー、よう」
そんな皐月に、あたしも軽く挨拶をする。
「成斗と一緒じゃねぇのか」
「え?あーうん。えっと」
「あ、成斗君は今ちょっといないの!ね、桜」
上手く言えないあたしに気付いて、愛子が慌てながらそう言ってくれた。
あたしはそれに、うんうんと首を縦に振る。
「ふーん、つまらねぇ」
「悪かったな、成斗居なくて」
皐月は、あたしが成斗の事好きだって事を知っている。この彼女の愛子に聞いたんだとか。
まあ別に協力してくれるとか言ってたし、害は全くないけど。