この出会いが奇跡なら-上-
「つれねえなぁ。話掛けただけなのに」
「別にあんたと話すことなんてない」
「うわ、すごい変わり様。まあ一人だったから声掛けただけだけど」
――――何それ。だったら、一々そんな事で話かけて来ないでよ。
「それに、春の奴もいないし」
「……」
―――成斗。
「なあ」
「…何?」
「成宮って、春が好きなの?」
「えっ」
一瞬、ズバリと当てられてドキリとしてしまった。
「別に、あんたには関係ないでしょ」
「関係あるよ、俺成宮が好きなんだから」
そんな事サラリと言われても何も感じないし、何も思わない。
やっぱりあたしは成斗だけなんだなって改めて実感する。
「現にあいつが好きでも俺がお前を振り向かせてみせるから」
そんなの絶対あり得ないからと心の中で呟き、あたしは森を睨んだ。
すると森は、そんなあたしをスルーして、この場からさっさと離れていってしまった。
ああ。もう、本当に嫌だ。
あたしが「はあ」とおおきな溜め息をついたその時、いきなり携帯のバイブ音がブブブと鳴った。