この出会いが奇跡なら-上-


「はい、んじゃ光輝から」と言う悠紀に一切否定しない光輝。


光輝、否定してよ!


それとは裏腹に、

「桜…」と目の前でそっと呼ばれる

そんな真剣な目で、見ないでよ

何故かそんな真剣な光輝の瞳から、目が離せなくなった

どんどん近くなり、耳元で囁かれた。

「桜、好きだよ…」



そう囁かれて、どくんっと心臓が高鳴る。

光輝が言うと、嘘に聞こえないんだけど…


「ふはは、桜顔真っ赤!」と面白半分に言ってくる悠紀に、赤くない!と否定するあたし。

「桜、まさか俺の事好き?」

光輝がニヤけながらあたしにそう聞いてくる。

「違う!」

だからそんなんじゃないってば…

ちょっとドキっとしただけ。


そう思ってると「次、桜の番」と進められる。


「私、無理!」

「無理じゃないって」




その瞬間、


ガタっという音がして、
振り向くと成斗が怖い顔して私を見た後、

「俺、帰るわ」

それだけ言って部屋を出て行ってしまった。


―――成斗…待ってよ。

追いかけようと一瞬思った。

でも、追いかけてどうするの?

何て言葉掛ければいいの?


分からないことばかりで追いかけれなくなって、
あたしのテンションもガタ落ち。



「あたしも、寝る」とだけ言って、隣の寝室に向かった。

「あーどうしよ…」と愛子が言ってたのがかすかに聞こえた。


あんな怖い成斗の顔、見たことない……

あたしでもあれはこわかったよ…


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