この出会いが奇跡なら-上-
「よし、もうこれでいいでしょ」
無事掃除を終えた後、愛子が満足したようにそう言った。
あたしと真衣は、「はあ」と大きなため息をひとつ吐き捨てた。
その後、「あ、8時50分だ」っていう真衣の一言に急いであたしたちは部屋を出た。
ちょっと名残惜しいな、なんて思いながら。
荷物をバスに乗せて、ホテルでお世話になった人たちにお礼の言葉を述べて、そこからバスで30分。
綺麗な川に到着した。
すると教師が不意に「取らないと今日のお昼ないからなー」とそれだけ言った。
その言葉にみんな必死で魚を追いかける。
高校生が何してんだか、とか思うけど、あたしもあたしで今を存分に楽しむ事にした。
「愛子、行こ!」
「うん」
それからの数十分、魚と追いかけっこしてるも、一向に捕まらない。
このままだと、まじでお昼抜きだ。
そんな事を思いながら焦っていると、不意に隣で、愛子が「やった!」と声を上げたのが聞こえた。
「え!どうやって捕まえたの!?」
「ん?いや、普通に」
いや、その普通にが分からないんだけど。
そこから40分が経った頃、教師が終了ーと声を掛ける。
「ええ、あたし一匹も捕まえてないんだけど…」
「桜ー?何してんの?行くよー」
「ちょ!待ってよー」
ああ、どうしようなんて思いながら走り出すと、不意に水の中にあった石にゴツンとつまずいてしまった。
「………」
そう思ってギュッと目を開けると、何故か何処も痛くないし、何処も濡れていなかった。
「大丈夫?」