この出会いが奇跡なら-上-



「成斗、大丈夫なの?」


「あ?大丈夫に見えるか?」


「え?いや、見えない」


「だったら聞くな」



……な、何だと!こいつ!

せっかく来てあげたのに、なんて生意気な奴。



「あ、はいこれ。授業のプリントとお知らせの手紙」

「…んなもんいらねえよ、捨てるだけだし」

プリントを見る限り、横の棚にバサッと置く成斗。


せっかく…持ってきてあげたのに。

じとっと成斗を見つめると、低い声で、「何だよ…」とそれだけ返ってきて、あたしは「別に?」ってそれだけ素っ気なく返してやった。







「…ねえ、ご飯とか食べてるの?」

「食べてねえよ」

「え?大丈夫なの?食欲ない…とか?」

「食べたい気分じゃねえんだよ」

「ふーん、そっか」


そういつも通りに振る舞う成斗だけど、
やっぱりいつもと違うって、そう感じた。

なんか勢いがないんだよね、

勢いっていうか迫力っていうか。

よく分からないけど。



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