この出会いが奇跡なら-上-
「じゃあ、熱は?」
あたしがそう聞くと、
「…熱、上がってきたかも」
小さい声で、それだけ言う成斗。
「え、だ、駄目じゃん!寝てないと!!」
「え、ちょ…!」
無理やり成斗をベッドに寝かして、どうしよう、と考える。
「ねえ、体温計何処…――」
「んなもんなくていい」
成斗にそう問いかけた時、いきなりグイっと勢いよく後ろへ引っ張り込まれた。
「……わっ」
…ドサっという鈍い音と共に、あたしはベッドの上へ倒れ込んでしまった。
そしてそのままあたしの上に、成斗が馬乗りになる。
「ねぇ、ちょっ成斗…」
「…男が1人の家に普通に上がり込んで来るなんて
いい度胸してんじゃん、お前」
「…………」
………こいつ、熱で頭おかしくなった?
「汗かいたら治るとか言うし、風邪、移してやろうか…?」
そう思っていると、不意に唇がくっ付きそうなくらいの近さで、成斗にそう言われた。