さぁ、跪いて快楽を乞え!
「……寿の馬鹿」

「薫にだけは言われたくないですね」

「俺は病み上がりだぞ!?」

スーツに腕を通し薫のクローゼットから服を取り出す寿に向かって薫は叫んだ。

「そうでしたねぇ……起き上がれますか?」

「……起き上がれるに決まっ痛ぅっ!」

「ひ弱ですねぇ」

起き上がると走る痛みに薫が顔をしかめると、寿はそれを嘲笑った。

「誰のせいだと思ってるんだよ!」

「優しくしてあげたじゃないですか」

「そっ……そうだけどさ……」

「とりあえず服は着ましょうね。病み上がりなんですから」

はい、と着やすいように差し出された服を見た薫はなんだか腑に落ちないといった顔をした。

「何ですか?」
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