野良ライオンと文系女の猛獣使い
「親しみを込めた……、何?」

「うん。親しみを込めた遠慮のなさ!」

「えっと、ごめん。……意味がわかんない」

「一定以上親しくなった人とか、好意を持ってる人に対してって、あんまり他人行儀にしないでしょー?あざとちゃんのはそれだよ!って思ったんだよ」


親しくなった?好意を抱く?
……アレに?


「ない」

「むぅ?」

「ないわよ。大体、矛盾してると思わないの?多少なりとも好意を抱いてるなら、また会うのに嫌そうな顔なんてしないでしょうが」

「いやいや、そこはほら!アタシとの会話中にも嫌そうな顔をすることだってあるし!なんかさ、うー…ん。あざとちゃんの恋愛関連で心配してる時とか」


この娘、普段私が嫌そうな顔をしてるって知ってて、あの手の話題を振ってくるのか。質が悪いな。
今までは悪気がないって思ってたから下手に出てたけど、今度からはイラついたらスグに話題を打ち切ろう。


「あー、安心した。もし、あざとちゃんが本気でレオ君のこと嫌ってたら、今度のお出掛け気まずいもんねっ!」

「いや、本気で嫌いよ?なんで君は自分の理屈を私に押し付けるかな?」

「またまたぁ!社交性に乏しいあざとちゃんが、相手に遠慮しないでいられるなんて、相当なことだと思うよ!」

「う……」


社交性云々言われると弱いなー…。実際問題、自分の社交性はどうにかしないといけないって思ってるから余計に。


「それによく考えたら、あんなに熱っぽくレオ君のこと見つめてたんだし、嫌いなハズなかったねっ!アタシの杞憂か」


アイツのことを、この私が見つめてた?それも熱っぽく?


「まて!そんなことはしてない!ぜっっったいしてない!!」

「してたよ?」

「いつ!どこで!?」


思わず大声が出てしまう私に対し、加奈子は余裕の表情で紅茶をすする。

店の前で話を続ける訳にもいかず、とりあえず中に入って会話を続けてたんだけど、さすがに店内での大声はまずかった。
店員さんの視線が怖い。それ以上に私達以外の客の目が痛い。


ごほん、とわざとらしく咳払いして、私は再び加奈子に問うた。


「いつ?誰が?誰に対して熱っぽい視線を送ってたって言うのよ?」
< 25 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop