野良ライオンと文系女の猛獣使い
今、嫌いだと明言したばかりだっていうのに。この娘は人の話を聞いてるんだろうか。


「聞いてるよ、失礼なこと言うね」


言いながら、加奈子はケーキをもっしゃもっしゃ食べる。
『モグモグ』でも『パクパク』でもなく『もっしゃもっしゃ』って擬音を付けざるをえない辺り、彼女の食べっぷりがわかってもえらえると思う。

本当に、なんでこれで太んないかな?
別に羨ましくなんてないけど。


「聞いてたけど、やっぱりアタシだけアドレス交換したのに疎外感みたいなのを感じてるのかなー、って。あざとちゃん繊細だしね」

ケーキの追加を頼んで、加奈子はこちらに話題を振る。

ああ、話を戻すな面倒くさい。
というか、別に繊細じゃない。


「疎外感なんて感じないわよ。誰と仲良くなろうが加奈子の自由なんだし、いちいち口出ししたくないもの」

「……それはそれでアタシが寂しいかも」

「ただ、今回の、あの金髪に関しては、すっっっごく不安だから一緒に行く」

「別に大丈夫だと思うけどなー」


人が心配してあげてるのに、加奈子はどこ吹く風だ。
いや、お節介なのは自認してるけど、この友人は何だか危なっかしいんだもの。


「ま、いいや。友達と遊ぶなら人数多い方が楽しいしねっ!」


ここまで簡単にすまされると、心配してる私がバカみたいだ。
あの金髪のことを、もう『友達』と認識してる辺りは果てしなく不安だったけど。

というか、食べかすついてるぞー。


「あ、それよりあざとちゃん」


食べかすつけながら、紅茶を飲み干して、加奈子はちょっと言いづらそうに切り出した。


「何?」


あの金髪と会うこと以上に言いにくいことなんてあるのか?
私の認識では、アレ以上のインパクトの話はないと思うから、簡単に先を促す。


「……うん。そのさ」

「うん?」

「ケーキ食べないんなら、アタシにちょうだいっ!!」

「どんだけ食う気だ!?」


追加のケーキを含めて3つ。ミニパフェ2つ。プリン一つ。

それだけ食べてまだ食べ足りない親友に、私は頭が痛くなりそうだった。
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