野良ライオンと文系女の猛獣使い
さて、そういう理由があって、私は晴れて加奈子についていくことになりましたとさ。


フフ、イーテンキダナー。


とか、半ば現実逃避してる心情を、誰か察してください。
自分で『一緒に行く』と宣言した以上、自業自得でしかないんだけど。


あの喫茶店での宣言(自殺宣言的な)から、しばらく経ちまして、実は今日が約束の日だったりなんかしちゃったりしなかったりしてほしかったんだけどぉああああああ!!


……はい。情緒不安定ね。わかってるわよ。仕方ないでしょ、不安なの。


ちなみに加奈子は私の隣でのんびり歩いてます。
この娘は危機感が欠落してるんだか、大物なんだか。

余談だけど、加奈子は私のモーニングコールで起きた。
あんまりにも電話をとらないから、このまま放置して金髪との約束をすっぽかしてやろうかと思ったけど。


……そうすりゃ良かった。


さらに余談だけど、あの場所での私のケーキは死守しました。
食べないんじゃなくて、ペースが遅いだけなの。わかった?大食らいお化け。


「レオ君は来てるかなー?」


言われて時計に目を落とす。
約束の時間の15分前。このまま歩けば、集合場所まで5分かからないので、私達は間に合う。
けれど、あの金髪が時間通りに来るとは思えなかった。


「なんか、平気で遅刻しそうよね」

「あははっ、言えてるー!」


私の言葉に、加奈子は笑顔で返した。
が、ちょっと待て。アンタだって、私が起こさなきゃ遅刻確定だっただろ。


内心のツッコミが声に出そうになる前に、目的地に到着。
案の定、金髪の姿はない。


「来てないね」

「時間までに来なかったら、二人だけで行きましょ」

「わぁお!あざとちゃんってば、ドS!!」

「……私は中庸よ」


言いたいことの大半を飲み込んで、私はなんとかそれだけを返す。


「あと5分か」


なんてぼんやり眺めた街の雑踏には、金髪の人間なんて腐るほどいて、『これは近くまで来ててもわからないな』、と正直な感想を抱いた。


「あ」


……にも、関わらず視界の端に『アイツ』の金髪を捉える。
何故、『アイツ』のだと確信したのかはわからない。

……わかりたくない。
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