野良ライオンと文系女の猛獣使い
「ごめーん。待ったー?」


軽く手を振りながら近付いてくる男は、間違いなくこの間の金髪だ。
というか、似合わない猫なで声でそう言うセリフを吐かないで欲しい。ちょっと寒気がする。


「お、レオ君時間通りー!」


その辺り何にも感じてないのか、加奈子は金髪を認めると笑顔で手を振り返した。


「うひゃひゃひゃ!そりゃ、女の子を待たせる訳にはいかねーですからにゃー!」

「10分くらい待ったけど?」

「あり、マジで?ん、いや集合時間通りだったんだし、許してもらえねーですかね?」


冷たい私の声に、金髪は軽く笑って応じる。
と、そこで何かに気付いたように眼を開いて、


「つか、あり?何であざちゃんがいんの?」

「いーじゃん別に!人数多い方が楽しいよっ!」


出した疑問は即刻加奈子の声に上書きされた。

ふむ、と一瞬考えるような素振りを見せる金髪。
別に気分を悪くしたようには見えないけど、やっぱり私は邪魔だろうか?
そうなるように来た訳だけど。


しかし再び口を開いた金髪はそんな様子を見せることもなく「ま、確かに」と納得して見せた。
挙げ句に、

「そうなると、俺様も友達連れてきた方が良かった?ダブルデートっぽく」

なんて、宣ったり。


「ちょっとアンタ……」

「やー、それならアタシが月岡君連れてくれば良かったんだね!」


言いかけた私を、加奈子が遮る。

というか待った。月岡君って。


「誰?」

「アタシの彼氏さん」

「へー」


説明を受けた金髪が、チラリとコチラをうかがってくる。


月岡君が加奈子の彼氏なら、当然『ダブルデート』の片割れはその組み合わせになる訳で。
つまり、残った組み合わせなんて一つしかない。


だから、うん、まぁそういう反応されるわよね。普通は。


「ま、いいや」


また何かバカな発言をしたら、容赦しない。と、身構えた私を余所に、金髪は本当に『別にどうだっていい』風に言って、話題を打ち切った。


絶対何か言ってくると思ったのに。肩透かしくらった気分。
……違う、Mじゃない。
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