野良ライオンと文系女の猛獣使い
「やー、おもしろかったねー!」


と、加奈子が周りの目を気にも留めずに言った。


「うしゃしゃしゃしゃ!確かにオモローな映画ではあったわなー」


そんな加奈子に同意するように、金髪が笑いながら言う。


改めて言うけど、この二人はもういい大人だ。
それもパッと見、その、あまり言いたくはないけど……『遊び慣れてそう』な大人だ。
そんな『子供向けアニメ映画から離れた位置にいそうな二人』が、そのアニメ映画劇場から出てきたら、ちょっとばっかし変な感じがするのは仕方ないと思う。
や、偏見とかじゃなくて、一般的で客観的な意見として。


そんな訳で周りの視線(主に子供連れのお母様形)がちょっと痛い。
自意識過剰だとは思うけど、見られてる気がする。場違いなのは、わかってるから余計に。


「んー?あざとちゃん、どうかした?」

「え?」

「いや、黙ってるし。おもしろくなかった?」


訊ねてくる加奈子に「おもしろくはあったわよ」と返す。

そう、おもしろかったのだ。
子供向け、とバカにしてはいけないことを、痛いほど思い知った。


全体を通して話の筋は通ってるし、盛り上がる部分はちゃんと盛り上がるし。
ちょくちょく仕掛けた伏線が、終盤で一気に回収されていくのは、観ていて気持ちが良かったほどだ。

あれは監督と脚本、どちらがすごかったのだろうか?
私的にはどちらも。物書き志望としては、ああいう物が書けるようになりたいという、憧れにも似た気持ちがある。

テレビシリーズもあんな感じなのだとしたら、一度全編徹して観てみたかった。


……と、ざっと挙げればこんな感じに感想が出てくるようなおもしろさの映画だったんだけど。
うん。それでもやっぱり周りの目が痛いのは変わらなかったり。


なので、


「映画の話は、昼食でも摂りながらにしましょ!ほら、いい時間だし!」


と、私一人で二人を促すことになってしまった。
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