野良ライオンと文系女の猛獣使い
「観て良かったとは思うけど、私は少し居心地悪かったかな」


正直にそう告白すると、加奈子はキョトンとした顔で「何で?」と返してきた。

言わなくてもわかりそうなものだと思う。実際、正面に座っている金髪は「あぁー」とか、わかったような声をあげているし。


「子供ばっかりだったでしょ。いい大人が、ああいうのはちょっとね」

「むー。それは偏見だと思う!」

「加奈子の言いたいこともわかるわよ。そういう趣味の人もいるだろうし。実際、観ておもしろかったんだし、『子供向け』ってバカに出来ないことだって理解してる。けど、居心地が悪かったのも事実なのよ」

「あざちゃんってば繊細。周りの反応なんざ、気にしなきゃいいじゃん!」

えー、でも、と反論しかけた加奈子を遮って金髪が口をはさんだ。

アンタ、私と同じ意見じゃなかったのか。さっきの「あぁー」はなんだ一体。


「え?アレは納得したって意味だけど?あざちゃんはそういうの気にするタイプなんだー、どうりでそわそわしてんなー、って感じ」

「つまりアンタは気にしてなかったと」

「ふひひ。そんなん気にしてたら、ボーカルなんてやってませんよー」


金髪は、ニヤニヤしながらお茶をすする。


……コイツの笑い方は、なんか嫌いだ。


「っていうか、あざとちゃんが気にしすぎなんじゃない?好きな物は好きなんだから、しょーがないと思うよ?」

「好きな物ならね。アレは完全に通りがかりみたいなものだったじゃない。だから余計にさー……」

「要するにアレか、あざちゃんは繊細ってことでFAな訳か」

「いや、別に繊細って訳でも──」

「そうだよっ!レオ君、大正解っ!」

「うおー!やったー、賞品はなんだー!?」


……聞いちゃいねえし。


私の声を遮って、二人のテンションは勝手に増大していく。
あれ、なんだろう?映画館にいた時より周りの視線が痛いよ、お母さん。


「……要するに、アンタ達は二人とも常識知らずの恥じ知らずってことでFAな訳ね。よくわかった」
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