深想シンドローム


「選手宣誓!」


開会式が始まり、ずらっと並んだ生徒たちの列。

その中であたしは
必死にある人物を探していた。



…まだ来てないのかなぁ。
でも、あの人いつもギリギリか遅刻だもんね。


そう、あたしが探してるのは西くんだ。


結果は残念であることには変わりないけれど、一応彼も協力者の一人。

だからお礼しようと思ってるのに、西くんの姿は一向に見えない。


もしかしたら、明日香ちゃんたちに合わせる顔がないのかも。

うん、きっとそうだな。


そう一人納得してた、その時。




“キキー、ガー…”

と、スピーカーから耳障りな音が流れる。


…え―――?



次いで聴こえた親しみ深い声。

“只今マイクのテスト中~”


「何これ~?」

「な、何だ!?誰だ!?」


ざわつくグラウンドに、あたしはハッとした。



“開会式中すんませーん、お知らせがありまーす!”


この間延びした声。

ふざけた口調。



「これって、まさか…、」



間違いない、西くんの声だ。







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