深想シンドローム


嬉しくて、とにかく胸がいっぱいで。

喜びを噛み締めていると、ふいに聞こえた声。



「ミーコちゃん。」


あたしはゆっくりと顔を上げた。



「よかったね。これでエースも体育祭参加出来るよ。」

「…西くん、」


視線の先に居る彼は
柔らかく笑ってあたしを見下ろし、頭を撫でてくれる。

その温もりが、優しすぎて。



「うわぁん、西くん~っ!」

「おわっ!」


ようやくこれが現実だと実感出来た瞬間、溢れる涙を抑え切れなかった。


「うぅぅ~っ、ありがとぉ~…っ、」

「あはは、そんなに嬉しいー?」

「嬉しぃぃい~…っ!」


抱きついて泣きじゃくるあたしを、西くんが子どもをあやすように背中を叩いてくれる。



そんな時。


「お取り込み中悪いんですけど~。」

と、ニヤつきながら
明日香ちゃんがあたしたちに声を掛けた。


……しまったぁぁぁあ!



「うあああ!ごっ、ごめんねっ!」

急に我に返ったあたしは慌てて西くんから離れる。



嬉しくてつい抱きついちゃったよぉーっ!







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