境界上
.


――止めてよ。



“今夜、行くから”



気付いてたんだ。

アタシが部屋に来てたこと。


長年の付き合いが物語るこのしたり顔。


それでいて。

“あえて”あのメールにも、ここに来ていたことにも触れず、どうでもいい疑問だけをコンパクトに解消してくるのも蓮らしい。


皮肉にもあのバーが行き着けになったのは、元々蓮に連れられたから。


だから、マスターが蓮の番号を知っていても、閉店後酔いつぶれたアタシの回収を蓮に頼んだとしても、何の不思議もない。


……本当、どこまでもソツのなさ過ぎるこの蓮らしさが



「……とりあえずもう酔いは冷めたみたいだし、」


「へぇ? 服ひとつまともに着れそうになくてベソまで掻いてた癖に」



今はとことん胸くそ悪い。





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