僕は君のもの



今度は直ちゃんが黙り込む。



「あれ?聞いちゃマズかったかな…。」


「いや。別にマズくはない。」



直ちゃんは美紀に苦笑いしながらポツリポツリと話しだした。



「ほら。俺勉強苦手だろ?高校もほとんどサボっててさ。
だけどサボったところで金もないから遊べもしないし。だったら潔く就職でもするか!って思ったわけ。
ま、それだけの話。」


そこでダラけた生活に逃げないで就職する所が直ちゃんらしい。



「へ〜。そうだったんだ。
お仕事楽しい?」



「まーな。朝早いし体力もきついけど、俺は好きだよ。今の仕事。」



嬉しそうに言う直ちゃんを見て美紀まで嬉しくなる。



「今日はお休み?」



「あぁ。雨だと現場使えないからな。…ってさっき言ったろ?人の話はちゃんと聞こうよ。」



ん?雨だと?



「ってことは直ちゃんって雨降るとお仕事行かないの?」



「だいたいはな。毎回ってわけじゃないけど。…だから人の話し聞けって。」



そうなんだ。いいこと聞いちゃった。



「美紀ちゃん、なんか企んでない?」



直ちゃんが美紀を覗きこむ。




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