僕は君のもの
真っすぐ前だけを見て堂々と歩くその姿に憧れを覚えた。
「なんて名前の子?」
「神崎恵梨香。」
恭ちゃんの隣にいたヤマがハッキリと言った。
「ふ~ん。キレーな子。」
無意識に同じ言葉を言っていた。
あの子とお話ししてみたい。
女の子に対してそんな風に思ったのは初めてだった。
だけど美紀はそのことにも気づかず、再び窓の外を見た。
直ちゃん、今頃がんばって働いてるかなぁ。
あの日以来、雨の日がなかった。
雨が降ったらすぐにでも行くのに。
すぐに会いに行くのに。
世の中ってうまくいかない…。