僕は君のもの
あゆみさんにお礼を言って、直ちゃんにお礼を言って、2人に手を振って、玄関を開けた。
うん。きっと大丈夫。
自然だった。ちゃんと話せたし。ちゃんと笑えてた。
お母さんに浴衣を脱がせてもらった。
帯の結び方がかわってることに気づかれたけど、適当に言い訳した。
花火がキレイだったって話もした。
いつもみたいにお風呂に入って、お肌のお手入れもして、髪も乾かした。
「はーーーー…。」
大きく長いため息と共に涙があふれた。
「ふっ…。」
我慢しきれず嗚咽を漏らす。
今日は美紀の人生の中で一番幸せだった。
今日は美紀の人生の中で一番最悪だった。
それでも最悪が勝ってしまう。
だって一番の幸せは一番の最悪によって消されたから。
ねぇ、美紀はこれからどうやって生きていけばいい?