僕は君のもの



それからのお母さんの行動は驚くほど素早かった。


あっという間に車に乗せられ、着いた先は産婦人科。




ーご懐妊ですね。




優しそうな先生から言われた。


何週目だとか母子手帳だとかいろいろな説明をしてくれてたけど何も聞けなかった。





美紀、本当に妊娠してるんだ。




お腹にそっと手をあてる。




ここに赤ちゃんがいるんだ。


直ちゃんの子。


美紀の子。




「美紀。帰るよ。」



「あっ。お会計。」



「もう済んだから。」




そっか。美紀もまだ子供か。


情けないなぁ。




無言の母を追いかけて車に乗った。





< 197 / 245 >

この作品をシェア

pagetop