僕は君のもの
病院を出てしばらくしたらやっとお母さんが口を開いた。
「どうするの?」
これってもちろん赤ちゃんのことだよね。
絶対に堕ろせって言うんだろうなぁ。
「…はぁ~。」
いつまでも答えない美紀にため息をついた。
「好きにしなさい。」
「え?」
「美紀が決めなさい。」
お母さんかなり怒ってる?あきれてる?
投げやりな言い方にドキドキする。
「お母さんね、美紀にどうしてあげるのが一番いいのか分からないの。
あなた、まだ子供でしょ?お母さんたちがいないと生きていけないでしょ?」
もっともな言葉。
美紀は俯くことしかできない。
「美紀を産んで、育ててきたお母さんとしては産んで欲しくない。美紀に分かってる苦労をさせるなんて嫌なの。
ただ…、子を産んで、育ててきた一人の母としては産ませてあげたい。
だってお母さんね、美紀を産んですごく幸せだもの。美紀がいないと生きていけない。どんな苦労もあなたがいるからがんばれたのよ。」
「お母さん…。」
自分のことしか考えてなかった自分に腹が立つ。