リアルな彼氏
……数分前に戻りたい。
"この中で一番幸せな人"だったつもりが、今は"一番さみしい人"だ。
この賑わう街の中で、私は一人家に帰る道を急ぐ。
仕事だから。"しょうがない"と割りきらなければいけないのは、頭ではわかっているつもり。
けれど、こんな日ぐらいと思わずにはいられない自分もいる。
「あーあ…。」
口に出したらすっきりするかなと思った。
なんの意味もなかったけど。
正直隣にいない彼を思うと寂しい。
悲しいって悲鳴を上げたくても、届かないんだとわかっている。
わかっていても、とめることが出来ないのが"本当の恋"なのだろうか。
「こんな日ぐらい、いいじゃんか…。」
ハアと溜め息をつく。