大空の唄


気が付けばあれから5日も経っていた


「はぁ…」


「何ため息着いてんだよ」


放課後の誰もいない教室でたそがれていると


先輩がそう言って教室に入って来た


「最近、絢音ため息ばっかりついてる」


あたしが座る席の前の椅子に座り机に頬杖をつく


「そ、そうですか?」


あたしは誤魔化すように席を立った


自分ではあまり意識してなかったけど


最近またぼーっとしてるなとは思っていた


そしたら


『何ぼーっとしてるんだよ』


っていう蒼空の声が聞こえた気がして…


はぁ


「まただ…」


あたしは慌てて両手で口を抑えた


本当に無意識に出たため息だった


「ねぇ絢音は今、何考えてる?

イヤ…誰のこと考えてる?」


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