ラヴレス
「ばーさん、みさとの様子見てくるよ」
好奇心に満ちたは子供達とは違い、どこか不愉快そうな視線をキアランに向けていた「チィネエ」がそう言っているのを耳にする。
そういえば、昼間出会ったみさとの姿がないと気付く。
「…僕も行く」
気付けば、キアランはそう言っていた。
子供達は既にケーキへと群がっている。
「はあ?」
キアランの進言に、「チィネエ」はふざけるな、と言わんばかりの声を出す。
その生意気な態度が、キアランを刺激する。
「あら、あの子も喜ぶわ」
しかし奥方の鶴の一声。
「チィネエ」はそれを聞くと深く溜め息を吐いた。
それにまたもぴくりと反応したキアランから視線を外し、小さな皿に苺のショートケーキを乗せて黙ったまま居間を後にした。
それに慌ててキアランが続く。
幅も狭く、天井も低い廊下を進み、一旦外へ出て、母屋から一般的な平屋へと向かった。