ラヴレス
「昼間の天使が、みさとに会いに来てくれたよ」
言われて、キアランは目を丸くする。
みさとに対してここまで優しくできるならば、自分にもその優しさを示して欲しいくらいだ。
「ほんと…?」
目をパチパチさせながら、自分を見上げるみさとに、「チィネエ」は緩やかな笑みを浮かべた。
そのまま促されて、キアランはみさとの枕元に跪く。
「チィネエ」は濡れタオルや飲み水を替えに部屋を出ていった。
「…こんばんは、みさと」
小さな豆電球だけが点いた薄いオレンジ色の部屋でも、キアランの容姿は損なわれたりしなかった。
「…来てくれたの?」
みさとはやはり花が綻ぶような笑みを浮かべ、起き上がろうともぞもぞし始めた。
何枚も重ねられた布団は、まるで「チィネエ」の心配性ぶりを体言しているようで可笑しい。
そんなみさとに手を貸しながら、キアランは彼女をその腕に抱き上げた。
「天使」の腕の中にすっぽりと収まったみさとは、嬉しそうにへへへと笑い、キアランを見上げる。