ラヴレス
「みんなには会った?」
「君の兄弟?」
問われて、あの元気いっぱいな子供達のことを思い出す。
会ったよ、とキアランが言えば。
「みんなね、私のことずっと心配してくれてたんだよ」
みさとは楽しそうに瞳を輝かせた。
両親が居ない悲しみや寂しさを、互いに補いあっているのだろう。
「…そう、皆、みさとが大好きなんだね」
そんなみさとを大きな布団でくるんでやると、「チィネエ」が戻ってきた。
「でも、私のまわりをバタバタ走り回ったり、寝てる私を飛び越えたりしたから、ちい姉が怒って追い出しちゃった」
ふふふ、と愛らしく笑うみさとに、「チィネエ」も笑った。
「あいつらが居たんじゃ、あんたまで一緒に走り出しちゃうからね」
キアランの腕に抱かれたみさとの顔を覗き込み、「チィネエ」はその額から剥がれかけた冷えピタを取り替えてやる。
顔が近くなった「チィネエ」に、キアランは少しだけ顔を後ろへ引いた。
「天使がケーキを持ってきてくれたよ。食べる?」
「チィネエ」はキアランなど眼中にないのか、みさとにだけ優しい笑みを向けていた。