ラヴレス
みさとが食べる!とはしゃいだので、カチカチ、と蛍光灯へと繋がったピカチュウ付きの紐を引く。
明るくなった室内にキアランが目を細めると、みさとはもぞもぞとキアランの腕から抜け出した。
そのまま「チィネエ」のもとへ行き、ふかふかのチャンチャンコを着せて貰う。
先程よりも着膨れたみさとは、再びキアランの膝の上によじ登り、ケーキを待っている。
「…あんた、そこで食べるの?」
「チィネエ」の呆れた声などなんのその、キアランの腕の中がよほど気に入ったらしいみさとは、そこから動こうとしなかった。
「ちい姉、あーんして!」
キアランの膝の上で、みさとはにこにこ笑いながら「チィネエ」にそうおねだりした。
「いつから赤ちゃんになっちゃったのかな、うちのみさとちゃんは」
「チィネエ」はそう言いながらも、今日だけだよ、とみさとの可愛い我儘に付き合うことにしたらしい。
「はい、あーん」
「あーん」
ふたりして口を開ける。
そんな様が、キアランにはとても微笑ましい。
フォークの先に突き刺さったふわふわのスポンジが、みさとの小さな口へと消える。