いちばんの星 -side episode-


――――――


「あの…お話があるのですが…」



その日の夜。自分の隣に腰掛けて酒を飲んでいるヴェルヌに向かって、ミュリエルはためらいがちに口を開いた。



「どうした?」



ヴェルヌは持っていたグラスを置くとミュリエルの顎に指を添え、そっと上を向かせる。



「抱いてほしいのか?」



悪戯っぽく笑いながらヴェルヌがそう言うと、ミュリエルはたちまち頬を真っ赤にした。



「ちっ、違いますッ!お聞きしたいことがあるんです!!
その…スティーク様の事で…」

「…スティーク?」

「はい…」



ミュリエルの口から出るとは思わなかった人物の名に、スティークはミュリエルの顎から指を下ろした。



「スティークがどうかしたのか?」

「………実は…」
< 24 / 107 >

この作品をシェア

pagetop