いちばんの星 -side episode-
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「あの…お話があるのですが…」
その日の夜。自分の隣に腰掛けて酒を飲んでいるヴェルヌに向かって、ミュリエルはためらいがちに口を開いた。
「どうした?」
ヴェルヌは持っていたグラスを置くとミュリエルの顎に指を添え、そっと上を向かせる。
「抱いてほしいのか?」
悪戯っぽく笑いながらヴェルヌがそう言うと、ミュリエルはたちまち頬を真っ赤にした。
「ちっ、違いますッ!お聞きしたいことがあるんです!!
その…スティーク様の事で…」
「…スティーク?」
「はい…」
ミュリエルの口から出るとは思わなかった人物の名に、スティークはミュリエルの顎から指を下ろした。
「スティークがどうかしたのか?」
「………実は…」