いちばんの星 -side episode-
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普段ならそこにいるはずのない人物に、兵達は皆浮き足立っていた。
兵達が剣の稽古をする鍛錬場の中にある椅子に、ヴェルヌは腰掛けていた。
足を組み、組んだ足に肘を付くようにして頬杖を付いたヴェルヌは、誰が見ても不機嫌だった。
兵達は国王であるヴェルヌの存在に戸惑いながらも、ヴェルヌが放つ威圧感の前に誰も近づけずにいた。
その時。
兵達が突然ざわつきだしたかと思うと兵のひとりが声を上げた。
「隊長ッ!」
その言葉に、ヴェルヌは体勢を変えずに視線だけをその方向に向けた。
「ヴェルヌ…?」