いちばんの星 -side episode-


「ミュリエル、いるか?」

「ヴェルヌ様…!」



そう言って突然部屋へ入ってきたのはヴェルヌだった。



「式の事で話が…」



そこまで言うと、ヴェルヌはやっとラナの存在に気づいたのか、言葉を止める。



そんなヴェルヌの様子に気付いたラナは、急いでソファーから立ち上がる。



「じゃあ、話したいことはそれだけだから」



そう小さな声で呟くと、ラナはヴェルヌに向かって軽く会釈をする。



「ラナっ…」

「では、失礼します」



ミュリエルの言葉を遮るように、ラナは足早に部屋を後にした。



「ラナ…」



ラナを止めようと伸ばしたミュリエルの手は、ラナに届く事はなかった。
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