僕の初恋(仮)

冬期講習1日目

うるさい音を立てて落ちてくる雨と違って、雪は静かに降ってくる。


顔に当たったその結晶を手で拭きながら、今日は電車で行こうと決めた。


いつもは自転車で通っている。


たった一駅先の塾は、自転車だとだいたい20分くらいだ。


さすがに今日は朝から降っていただけあって、少し積もっている。




暖かい電車の中で、本を読む。

あっと言う間に着いてしまうのが残念だが。





駅前に建つビルの中にある塾は、既に何人もの生徒が授業を受けていた。


個別コースの俺は、どの先生が担当だろうと掲示された座席表を探す。



【担当・水野先生

 佐藤涼一、結城星也】


水野先生?聞いた事の無い先生だ。


お、また結城と一緒に受けるんだ。

こりゃうるさいぞ。


結城は他校の生徒だが、同じ中2という事もあって長期講習では一緒に受ける事が多かった。


明るく、人懐っこい性格で、あまり勉強をしたがらない事でも有名だ。


多分、塾の先生達は困ってるんだろうな~。




・・・まさか、怖い男の先生じゃないだろうな・・・。


うわー、宿題はやらせてもらえ無さそう。。。




ちょっと憂鬱になりながら、自習室で宿題を始めた。


所構わず本が読みたくなる程の本好きだが、何故か塾では読む気にならない。




俺は分かる問題だけとっとと解いて、どんどん宿題を進めた。


授業は6時から。


まだ時間がある・・・。



俺は自習に飽き、隣の部屋で休憩をしている背の高い先生の元へと進んだ。




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