僕の初恋(仮)
「お、涼一。久しぶりだな」

「先生、今回は見てくれないんだね」

「担当を決めるのは俺じゃないから」


にやりと笑みを湛えるこいつは、俺と同じ名字の「佐藤」先生。


前回の夏期講習で担当だった。

面白くて、いい奴だ。基本、面倒臭そうにしているところがちょっとカッコイイと思う。



「第一、前回はお前と結城のコンビにやられたからな~」

「結城がうるせーだけだし」

「お前だって話に乗って、勉強進んでなかったじゃんよ」

「だって先生と結城の会話が面白いんだもん」


ハァ、全く、とため息をつく顔も、手も、長い脚も


大人なんだなぁと感じさせる。


最近成長が著しい俺だが、それでもまだ160cmには及ばない。

先生は180cmと聞いた。


やべー、こんぐらいになりてーな。



「水野先生って誰?」


「夏期講習から来てくれてる、アルバイトの先生だ」


「へー、知らなかった。どんな先生??」


「俺も実は会った事が無いんだが、どうやら塾長の教え子らしい」


「そうなんだ」


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