Milky Milk ~間違いないのは1つ~
「楽しみによく噛んで食べようって、最後にとっておいたのに…」
「知らないよ。あんな大きい皿に一本置いてあったら、誰でも食べたくなるわっ。リュウタロウも狙ってたし」
「ぼ…、僕は狙ってないもん」
「ユキトにーちゃん三本も食べたじゃん!」
「はあっ?俺だって育ち盛りなの。もっと食べたい」
「だったら、私も育ち盛りっ!」
負けじとばかり言い合う雪斗と実は、海がどんな気持ちで聞いてるかわかるわけもなかった。
…会話を聞くと、この兄弟たちがいかに貧乏かわかる。食べ物で喧嘩することなんて、日常茶飯事だ。
しょうがない。母がいないのだから。こればかりは、先程のように紅葉を荒く踏み荒らす気も起きない。