Milky Milk ~間違いないのは1つ~
ちらんからん。
今の海の心境とは全く違う、なんともまぬけな音がした。
コーヒーの匂いが鼻に入った。「Milky Milk」とは喫茶店だ。
「すみません…誰かいませんか…」
しーん。
弱々しい海の声は、虚しくも響いた。
「すみません…禁断のりゅうい…じゃなかった、バイトに来た者ですが…」
ちなみに説明すると、海の言っていた禁断の流域とは、バイトのことだ。
しばらくするの、視界の端にテーブルから何かがむくっと起き出すのを見た。
視線を送ると、茶色いエプロンにワイシャツ姿の男の人が立った。どうやら、この店の制服らしい。
「いらしゃい…ませえ」
(何このやる気のなさ!?寝癖あるし!私がもし客だったら逃げるな、間違いなく…)