―百合色―
俺は酷く自分を恨んだ。

風邪なんか引かなければ…

この熱くて重い体さえなければ、手を繋いで百合と学校へ行けたかもしれない。

そして…後悔なんかしなかったかもしれない。


後悔という二つの文字が、
たった二つの文字が、

俺をこの先苦しめる事など、今の俺には考えられなかった。


荒い息、開いているのかそれさえも分からない視界。

俺は天井を見上げ、
ただボーっとしていた。


額には、百合が貼ってくれた熱さまシートを貼ってある。

それから伝わる冷たいものが、俺の中の無駄な熱をとってくれているみたいだ。

『はぁ…』

風邪など滅多に引かない俺が、今こうして熱と戦っている。



今何時だ?と思い、

俺は頑張って横に置いてあった携帯を取った。


『…9時15分…』


今頃百合は一時間目の授業を受けている頃だろう。
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