群青ノ春
それは七月も残り丸一週間となった時だった。
その頃には雨の気配どころか、太陽が熱いんだか、地面が熱いんだか分からないくらいに夏になっていた。
奈緒は夏休みに入る前の試験を受けていた。
『デザインと何の関係があるんだよっ』とボヤきながらも、単位を落とす事だけは避けたかったので、連日徹夜だった。
その甲斐あって最終日のマーケティング論のテストも、何とか空欄を作ること無く埋め終えた。
奈緒は静まりかえった講義室でぼんやり窓の外を見ていた。
どこか遠くで聞こえる蝉の声や、何重巻きにもなった入道雲を見ていると、こないだ観た猫が出てくるアニメ映画の1ページみたいだなぁと思った。
―確か…猫が、
空から落ちて…―
突然、肩が揺さぶられ慌てて顔を上げるとそこに陽登が立っていた。
「あ、ごめん。起こした?
あの、解答用紙集めてんだけど…」
奈緒は完全に寝ていた。
テスト終了後には一番後ろに座っている人が解答用紙を回収しにくる。
運が良かったのか悪かったのか。
奈緒の列の最後尾には陽登が座っていたのだった。
その頃には雨の気配どころか、太陽が熱いんだか、地面が熱いんだか分からないくらいに夏になっていた。
奈緒は夏休みに入る前の試験を受けていた。
『デザインと何の関係があるんだよっ』とボヤきながらも、単位を落とす事だけは避けたかったので、連日徹夜だった。
その甲斐あって最終日のマーケティング論のテストも、何とか空欄を作ること無く埋め終えた。
奈緒は静まりかえった講義室でぼんやり窓の外を見ていた。
どこか遠くで聞こえる蝉の声や、何重巻きにもなった入道雲を見ていると、こないだ観た猫が出てくるアニメ映画の1ページみたいだなぁと思った。
―確か…猫が、
空から落ちて…―
突然、肩が揺さぶられ慌てて顔を上げるとそこに陽登が立っていた。
「あ、ごめん。起こした?
あの、解答用紙集めてんだけど…」
奈緒は完全に寝ていた。
テスト終了後には一番後ろに座っている人が解答用紙を回収しにくる。
運が良かったのか悪かったのか。
奈緒の列の最後尾には陽登が座っていたのだった。