見えないお姫さま


「私ヴァンの家行ってみたいわ」

「良かった。ちょ待って、水止めてくる」


そう言うとヴァンは走って水道に向かっていった。

戻って来るのも早かった。


「やっべ!ここ水溜まってる」


そこはさっき水がドボドボ地面に落ちていた所。


「そのうち乾くわよ」

「そっか!じゃいっか!」


え、いいの?

庭師としてそれもどうかと思うわよ?


「それで?本当に大丈夫か?」


ヴァンはしゃがんで草むしりを始めた。

だから私も隣で同じようにしゃがんで草をむしった。


「大丈夫よ。ヴァンの家はどこにあるの?」

「すぐ近くの村だよ」

「確かヴァンは出稼ぎに来ているのよね?」

「そ。男の一人暮らしの家だから狭えし汚えけどな」


そうか、一人暮らしか。

あら待って。

そんな所に行ってもいいのかしら私。


「ラナも連れて行こうかしら」

「え!?」

「冗談よ」

「……お前なぁ」


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