見えないお姫さま
ヴァンはゴホンとわざとらしく咳払いをした。
「今度、俺の家来ないか?」
「え?家?」
「無理か!?やっぱ無理か!?無理だよな!そうだよな!」
「待って!待って!」
「いや!ちょっと言ってみただけだ!冗談だ!」
「え…、そうなの?私行ってみたいと思ったのに」
「え!?」
「冗談なのね…」
「え!?」
「残念だわ」
「ちょっと待った!今のなし!」
「ぷっ!あはははっ」
ヴァンったら可笑しい。
テンパり過ぎよ。
私まだ無理なんて一言も言ってないのに。
「笑うなよ…」
さっきまで勢いよくホースから吹き出ていた水が、今ではそのままホースの口から地面に落ちていた。