年上。
「……出来るに決まっている」

俺がそう答えると、そいつは表情を変えて驚いた風に言う。

「すげぇな! お前あれをできるなんて!」

「出来て当たり前だ。何をわざわざ、簡単な数式でミスをしなければならないのだ」

「やっぱ出来る奴の発言は違うな!」

「……用はそれだけか?」

「お前、もしかしてあの先生の点数でも稼ぐつもりか?」

こいつの発想はどうやらそっちの方に向いているらしい。

何をわざわざ好んで、教師ごときの高感度をあげなければならないのだ。

まぁ、それが後々就職などに役に立つというのなら、幾らでも機嫌を取ってやろう。

面白くはない、が。

「ああ、稼がせて貰う。悪いが、俺は内申点を落としたくはないからな。あんなテストで上がるというのなら、幾らでもやってやるさ」

「おまえ、俺の発言を著しく勘違いしているみたいだな」

「何のことだ?」とぼけてみる。

「お前は、新任の先生を狙っていないのかよ」

やはりそちらか。狙うのは、お前くらいでは無いのか?

「あの先生は、独身で彼氏の影もなし。しかも年齢は二十代前半だ」

「お前、一体どこでそんな情報を」

俺も調べようと思えば、現在住所から何を食べたかさえ、把握する事は可能だが。

「蛇の道はへびってやつよ」

こいつは俺以上の犯罪者になれそうだ。
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