年上。
つくづく、自己紹介が好きな教師だ。

俺は自己紹介が大っ嫌いだってのに。

教室で行った時と同様の自己紹介をした。

何をわざわざ、同じ事を何度も行わなければならないというのだ、まったく。

「はい、では、これからこの図書室の利用状況をもっとよくするための工夫について、何か意見がある人は手を挙げて下さい」

あるわけないだろ、そんなもん。

俺としては、分厚くて値の張るハードカバーの本と、一冊の値段が低くてもシリーズでやたらと金のかかる、ライトノベルを入れてほしいのだが。

ライトノベルは、オタクのイメージが濃いのであまり入れられる事はないだろう。

そこは理解している。まぁ、何処かの学校は、やたらと入れているようだが。

俺からしたら、文章力皆無のケータイ小説を仕入れるよりも、十分な読書になると思うのだが。

まぁ、そこは個人の好き嫌いだろうな。

尤も、ケータイで見れば通信料だけで無料で見れるものを、何をわざわざ金を出してまで、神で読みたがるのか、理解できないが。

所詮は同人誌を出しているにすぎないのに。

「意見がないなら、現状維持、という形でよろしいでしょうか?」

構わないから、早く終わらせてくれ。

「野々宮君は何か、意見がないのかな?」

ちぃ、こんな時に限って、担任が顧問のクラスは不利だ。

「……特に何も」

「あると思ったんだけどなぁ」

こいつは俺に意見を言ってほしいのか? ち、面倒だ。どうせ言うまで返さないつもりだろう。
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