lotlotlot3-血脈の果て-
「その体はしばらくるるんぱ様が使っていたからね。体の奥、それも最下層に近いところに魂は追いやられたんだろう。そりゃ、元の場所に戻るまでは時間がかかるさ。」
「元の場所ってなんだよ?」
「なんだい。そんな事も知らないのかい?体の中って言うのはさ、巨大な迷路なんだよ。魂にとってね。その迷路を抜け、体の中心に行けた者がその体の主となる。まぁ、そんな感じさ。つまり、迷路を抜け出てくるまでは、お前の親父はこれっぽっちも動きやしないさ。」
頭が真っ白になった。るるんぱがいなくなれば、父親はすぐに目覚めると思っていた。それがどうだ。今の父親は死んでるも同然だ。知らなかったとはいえ、これはリーグにとってかなりショックだった。
「そ、そんな・・・。」
「まぁ、そのうち起きて来るさ。それが何日、何週間、何ヶ月・・・いや何年かかるかわからないがね。」
「何年も・・・?」
「そりゃそうさ。それだけ人の体を操るって言うのは大変なのさ。それをるるんぱ様は、いとも簡単にやってのけるんだ。お前もすぐに自由が利かなくなるさ。」
わわは笑った。

<どうすればいい・・・?>
天を仰いだ。しかし、何も見えない。目の前は真っ暗な闇に包まれている。同時に後悔した。るるんぱを受け入れた事実を。
リーグは暗闇の中、まだ知る事すらない何かを、手探りで探し続けた。自分自身の姿を、出口を探し迷路をさ迷っている父親の姿に重ねた。
<迷路・・・?>
何かが引っかかった。
<今、俺は俺のままだ。と言う事は・・・あいつは俺の体の中をグルグルと出口を求めて・・・つまり、俺を求めて歩いているわけだよな?>
扉が少し開いた気がする。
<じゃ、あいつを閉じ込めたらどうなる?永遠にさ迷わさせれば、俺は俺のままだ。親父がいつ目覚めても、親父が悲しむ事はない。そうすれば元の生活に戻れるはずだ。>
扉から眩い光が射し込んできた。
ただ、何も表情には表さなかった。側にはわわがいるのだ。心のうちを知られる訳にはいかない。
微妙に上がったリーグの右頬だけが、その決意を示していた。
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