愛の雫
凪兄こと秋山凪(アキヤマナギ)は一つ年上で、あたしが小学三年生の時に斜め前の家に引っ越して来た。


昔はよく一緒に遊んでいたけど、最近のあたし達は話す機会すらあまり無い。


だけど…


不本意な腐れ縁のせいで、お互いの事はそれなりに知っていると思う。


だからあたしが家に帰りたくない理由も、凪兄は知っているハズなのに…


「放してよっ!!」


何度頼んでも、彼が手を離してくれる事は無かった。


気が付けば、駅の改札口は目の前だった。


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